「………」
あたしが何も言えずに総也から視線を落とすと、「はぁ…」小さくため息をもらした彼が立ち上がる。
「わりぃ。頭冷やしてくる」
そしてあたしの顔も見ずにそのまま部屋を出て行ってしまった。
追いかけることもできずに、少しだけ開いたドアの隙間をただ見つめる。
するとそこに、らせん階段をのぼる足音が聞こえてきた。
目をこらすと、稟が戻ってきている。
「……。あんた、何してんの。総也は?」
その視線に気づいたのか、稟は顔を上げて目を細くした。
「ちょっと、総也の気持ちも知らないくせに、あたしが出しゃばっちゃって…。怒らせたみたいで…」
「ふうん…」
稟は部屋の前で立ち止まり、隙間から総也の部屋を見渡した。
テーブルの上にあるさっきのアルバムに気が付き、「そういうことね」何かを納得したように呟いた。
