開かれた門を通り、梶先輩はお屋敷の玄関へ向かう。


それを追いかけると、丁度そのドアが開いた。




「棗様。いらっしゃいませ」



お家の中から出てきたのは、スーツに身を包んだ、とても厳格そうな男性。


年齢は40代ぐらいかな…。




「お久しぶりです。松宮さん」


「総也と稟なら中におります。どうぞ」


「失礼します」




あっ…。


そういえばさっき、梶先輩と翔陽高校の本田さんとの会話に“松宮氏”とか出てきたような気がする。



この人のこと、だよね…?




「紗雪。何ボーっとしてんだ。行くぞ」


「あ、はい!」



立ち止まってさっきの話を思い出していたあたしに振り返り、梶先輩が中へと促す。


あたしは先輩へついていった。