もしかして、その話が原因で今総也は…。


あたしが光の様子をうかがうと、彼女は静かに目を伏せた。




「昨日、一応稟にメールして聞いた。総也、最近ピアノの練習を真面目にやってないんだって。だから昨日の昼ごろ、ご両親から連絡が入って、ピアノに専念しないなら高校を変えるって言われたらしい」


「が、学校を変える…!?それって……」


「両親の言う音楽専門の高校に編入させられるってこと」




そんな……。



総也が、転校…!?




学校のムードメーカーで、元気でちょっとうるさくて、運動神経が凄まじくて、他人思いの総也が転校…。




「昨日、稟がいなかったのは、稟も途中帰宅したからで、家でずっとバイオリンの練習をさせられていたらしい~」


「それって、稟まで転校とかって…」


「稟の場合は一応毎日練習時間にはバイオリンを触ってるみたいだから、高校は両親との約束通り、稟に任せられてるみたい。だから辞めなくてはいいと思うけど…。でも大学はやっぱり、総也と同じ音大に通わされるのかもしれない」




それから1週間。



総也が学校に来ることはなかった。