「まぁ、それでも4歳ぐらいの時だったから、光はもう歩けたから。捨てられても急いでママを追いかけて、結局あまりにもしつこいからその後も一緒に暮らすには暮らせたけど…。母親の育児のストレスはすでに計り知れなくて、その苛立ちは全部光に向けられてた」






光はそれから何度も何度も、




『あんたが男の子だったから私は旦那にも捨てられた』


『あんたが男の子だったから反抗ばかりして可愛くない』





そんな風に罵られ続けて、そのうち、自分は性別を間違えて生まれてきたんだと、そう思うようになったのだという。






『あんたなんかが生まれてきたから』


『あんたみたいな望んでもない子ども、いらなかったのに』




何度もそのような言葉を浴びせられ、光は次第に女の子の服装やメイクにこだわるようになった。



すべては、母親に愛されるために。







「ま、結局は女装して母親の前に立っても、俺は母親の望んでた“女の子”の子どもとは認めてもらえなかったけどな」



「……え?」




光の口調は、自然と素の男口調に変化していた。


当時のことを思い出したのか、彼の横顔はいつもみたいに明るく笑えていなかった。