「あれ?まだ帰ってなかったの?」



仕事から戻ってきた様子のオミ先輩が入って来た。





「な、何だ。オミ先輩か…。よかった…」


「よかった?俺じゃない誰かだったら何かマズかったの?」


「え…。そ、それは……」




オミ先輩…。す、鋭い。


あたしは上手く誤魔化し切れずに唇を噛む。





「そういえばさっき帰りがけの光とすれ違ったけど、あいつにしては珍しく元気なかったな。何か知ってる?」


「えっ…」




ひ、光…。やっぱり光も気にしてる、んだよね…。



あたしがあからさまに避けたりしちゃったから…。




「んー…。そういえば総也もちょっとぎこちなかったなー。稟は普通だったけど」


「えーと…」


「まぁ、無理には聞かないけどさ」



オミ先輩は持っていたファイルや書類を正しながら続ける。




「光と何かトラブルがあったのは大体わかるよ。でも光。珍しく本当に落ち込んでたみたいだからさ…。あいつがあんなに他人のことで気にするのってそうそうないことなんだよな」