あっ…。 随分中へ進んだとき、利用者用の長テーブルの1番奥の椅子に座っている生徒に気が付いた。 だ、誰かいた…。 その生徒は男子生徒で、何かの小説を静かに読んでいる。 黒縁のメガネをかけていて、髪が淡い茶色。とてもサラサラとしていて、ハネなんか見当たらない。 そのまま、あたしが、 ジィ――… と見過ぎていたせいか。 その男子生徒はしつこい視線に気付いて、ふいにその目をこちらに流した。 あたしは突然ハッとして目を見開く。 だけどすぐにそらせなくて、「……」口を閉ざしていた。