「てめぇら、何してくれてんの?」 どこからか聞こえた、低い声。 聞いたことなんてないのに、どこか懐かしく感じるような、そんな声だった。 「ああ?誰だよ」 「放せよ。そのきたねぇ手で触んな」 曲がり角の奥から現れた、見覚えのある人影。 あたしと同じ、でもかなり着崩した制服を着て、 ミルクティー色のふわふわの長い髪の毛を流して、 大きな二重の瞳で、その男を睨んでる。 「………光…?」 それは確かに、さっきまであたしの隣で同じ道を歩いていた光だった。