あたしは珍しく居心地が悪そうに頭を掻いている梶先輩に、
「あたしなら平気です。気にしないでください」
そう声をかけた。
「………」
梶先輩はあたしを一瞥して、そのまま廊下を去って行く。
「棗ったら素直じゃなぁい!ほーんと可愛くない!」
「光…。あたしは大丈夫だから」
「んもう!紗雪に何かあってからじゃ遅いんだからぁ!光の親友なのにぃ…」
光……。
初めはよくわからない印象しかなかった光だけど、最近は光のことも何となくわかってきた気がする。
すぐ突っ走っちゃうくせがあるけど、優しくて友達思いで…。
「光、これからもよろしくね。親友として」
「えぇ?もっちろぉーん!光は棗みたいにドジじゃないから、紗雪のこともちゃぁんと守る!」
あたしは光の方が心配だけどなぁ…。
こんなお人形さんみたいな子、周りが放っておくわけないもん。
