それから複雑な心境の中、廃校のグランドまで移動した。



明らかにそれっぽい雰囲気が漂っていて、これを前にしただけで他の女の子たちはキャーキャー竦み上がって悲鳴を上げている。




「全然、怖がってねぇな。それともそれで案外ビビッてんのか?」


「え?あ、か、梶先輩」


「よ」



梶先輩はオミ先輩が昼間羽織っていた黒い上着を着て、そのポケットに手を突っ込んで立っていた。


フードをかぶって、顔を隠してるのは目立たないためだろう。




校正会の人たちって、まるで気配がないんだよね…。


だからいつもいきなり現れるっていうか。




「こ、こう見えてもこういうのあたし結構得意なんですよ」


「へぇ。つまんねぇ女だな」


「な…。し、仕方ないでしょう。好きなものは好きなんです」


「ふうん」




先輩はあたしを一瞥して、特別興味もなさそうにもう一度廃校を見やる。




梶先輩もあんまり怖いとか、感じなさそうだな…。



今日のきもだめしは、結構ドライに、あっさり終わりそうだ。