総也は「心配するな」そう笑って、自分のポジションに戻って行く。





今日のこのビーチボール大会で、ただのチャラ男だと思っていた総也の印象が、少しだけ変わった。



タフなのは見た目から予想はついていたけど、優しくて男気があって、負けん気が強くて、根性がある。



自分で決めたことは最後までやり抜こうとする強さがある。




たくましくて、久しぶりにこういう同い年の男の子に対して、安心感を抱いた。





「総也」



「ん?」



「あたしも、やるよ」




運動能力に自信はないけど、あの男からこれまで受けてきた暴力や暴言によって鍛え抜かれた忍耐力がある。



総也にばかり、負担をかけていられないもん。





「頑張る」



「紗雪ちゃん…。おう。じゃぁ、厳しいところとか、フォロー頼むわ」



「うん!」




総也に頷いて、あたしはコートの向こう側に立つ、敵チームのオミ先輩を見やった。