《それではこれより、3年2組対3年5組の試合を始めます》
丁度あたしと光がコート近くに着いた頃、試合は始まろうとしていた。
だけど、コートを囲んでいる生徒の数が多すぎて、とてもここからじゃよく見えない。
流石は律明のボスが出るだけのことはある。
他のクラスの試合と比べても、この応援の差は天と地かも。
「よく見えなぁい」
「仕方ないよ、光。割って入ることはできないし、我慢し……」
「何で司会の光がこんな思いしなきゃいけないのぉ!あ、そうだぁ!」
「え?ちょっとひか……」
光は何かを思いついたようにパッと顔を輝かせると、1番見やすいところを占領していた女子のグループのもとへ突っ込んでいった。
な、何して…っ!あんなギャルたちのところに割り込んだら、光が殺される…!!
そう思って、急いで光を止めに入ろうとすると……。
「紗雪ー!場所譲ってくれたよぉん♪早く早くぅー!!」
え?
何か光が彼女たちに声をかけただけで、ギャルたちはサッと場所を移動してくれたらしい。
な、何を吹き込んだの…?
