「きゃぁあーっ!紗雪、おめっとぉ♪」
そんな冷たい視線を一部の人から猛烈に浴びながらコートから出ると、簡易ステージの上でジュースを飲みながら見物していた光が一目散にここまでやって来た。
「光、ありがとう。でもあたし役立たずで…。総也に迷惑かけてばかりで…」
「なに言ってるのぉ♪そんなこと総也は気にしてないよぉ?アイツバカだから、女子にキャーキャー言われたいだけなんだってばぁ!気にしない気にしない!いっそのこと開き直って、総也にばかり動かせればいいんだよぉ!」
「そ、それはちょっと…」
試合中も、あたしがフォローすることもなく、あっさりと点数を決めていく総也の背中は、男嫌いのあたしから見ても、確かに少しはかっこいいところがあった。
モテるのも顔だけじゃないんだな、なんて思ったり。
「そういえば、稟やオミ先輩たちのクラスはどうなってるの?」
「もちろん順調に勝ち進んでるよぉ♪予定通り、決勝と準決勝は校正会メンバーのクラス同士の試合になるだろうねぇ♪あ、もうすぐ棗のクラスの試合だから、見に行くぅ?」
「梶先輩の…?出るの?あの人」
「そりゃあれでも一応会長だからねぇ。たまにはいいとこ見せなきゃぁ!その辺は光が強制的に選抜入りさせてるから大丈夫!」
光……。ほんと、ちゃっかりしてる。
それにあの自己主義人間がきちんと従ってるのもなんだか意外だけど…。
「んー、じゃぁ見に行こうかな…」
その様子が少しだけ気になって、あたしは光と一緒に先輩方の試合を観戦しに行くことにした。
