「……ごめんなさい」


「だ、大丈夫だよ。そんなに時間かかってないから」




その後、テントに帰ったあたしを待っていたのは…。





寝起きの珈琲がなく、不機嫌MAX状態だったボス、梶先輩だった。



あたしが急いで買ってきた珈琲を差し出すと、無言で受け取ってオミ先輩の持ってきたという和菓子と一緒にそれを飲むボス。




オミ先輩は「気にしないで」って言ってくれてるけど、彼の額を流れる汗を見ると、この不機嫌魔王様のお相手は相当大変だったに違いない。





さっきは助けてくれて、ちょっとだけ「いい人なのかな」なんて思ったりしちゃったけど…。



結局はこんな、我がままし放題の大魔王様なんじゃない…。





あたしは黒いオーラに包まれし梶先輩を横目に見た。






「冷めた珈琲を飲んでくれるあたり、十分紗雪ちゃんには甘い方だと思うけどね~」




そんなあたしの態度を感じてか、総也が後ろでそう言った。