稟が立ち止まった場所は、生徒たちがいる砂浜とは反対側の海岸だった。





「何でついてきたの」



「あ…。えと、なんとなく」




あたしが追いかけてきたのなんて、とうの昔から気付いていたくせに、到着してから聞くってことは、別に嫌で言っているわけではないみたいだ。





「あんた、男嫌いなんでしょ?それとも何。もう克服した?」



「ち、違うけど…。ちょっと気になったから」




あたしが正直に答えると、「ふうん」それだけ言って、近くの砂浜に腰を下ろした彼。





さっき買った缶珈琲のプルタブを引いた。



それから少しの間、その珈琲に目を落として、ゆっくりと口付ける稟。




一口飲んだところで、彼は缶珈琲を口から離し、暫し静止した。





……?


稟…?どうしたの?




その様子が何となく怪しくて彼を見ていると…。





「ゴホッゴホッ…!!」




急に稟は口元を覆ってむせ返した。