一人残された私は、風に吹かれながらぼーっとしていた。


小春のアイディアのお陰で、こうして一緒にお昼ご飯を食べるようになって、好みもわかってきて…
クラスの友達には、
「付き合ってるの?」

…なんて聞かれて。

それくらい親しくなったけど、まだ気持ちを伝えた事がない。



というか、


伝える勇気がない。



いい加減、苦しくなってきた。

伝えたら、楽になるのかな?

けど、もし、…フラれてしまった時、もう健介と笑って会えないかもしれない。

それは嫌だ、絶対に。




そんな事を思いつつ隣りを見ると、手のひらぐらいの、茶色い手帳が落ちていた。


(…何、これ…。健介の?)

革製のカバーで覆われていて、表紙にはうちの高校の名前が書かれていた。


今時珍しい、生徒手帳を持ち歩く生徒。


(以外…持ち歩いてんだ…。あ、後で返しといてあげよっ)



ポケットにしまおうと持ち上げた、その瞬間。


手帳の間から、一枚の写真が落ちた。

慌てて拾いあげると、そこには、


(……小春?)


小春が写っていた。