「しばらく安静にするには、入院するしかなかった。
でも、その入院には莫大な費用がかかった。
そこに付け込んで、由梨の父親が俺と交換で金を出すと言った」



「それで、了承、したの?」



「本当は、嫌だった。そんなことで風華と別れるのは。
まだ、付き合ったばかりだったし。
だけど、入院費を稼ごうと母さんまで無理をしたんだ。

それを見たら、自分を犠牲にするしかないって……」




勇人くんは、そのあとの言葉が続かなかった。


あたしは、とうとう我慢が出来ず、涙が零れた。