「確かに、あの子は名前を言わなかった。 けど、あたしへの態度がそう見えたの。 それに、この前彼と逢った時、あの子から電話があった。 この時は、名前を言ったから間違いないよ」 そこまで言ってから、藤井くんは考え込んだ。 なぜ、こんな質問をしてくるのだろうか。 自分が傷つくだけだと思うのに。 とは言え、正直に答えるあたしもあたしだけど。 いまいち、藤井くんが何を考えているのか分からなかった。 「朝井さんは、好きな人に彼女がいたら諦めるんだ。 そんなに、簡単に諦められる気持ちだった?」