それっきり、あたしは言葉を失ってしまった。
今言われた言葉を、頭の中で繰り返している。
そして、何を言っているのだろうと思った。
そんなことを言われるとは、思っていない。
それに、淡々と言っているし、表情も変わらない。
本気か分からない。
どう受け取っていいか、分からない。
「返事ないけど、考えている?
あ、それとも本気か分かっていない?」
いつの間にか俯いていたあたしの顔を覗き込むようにして、彼はじっと見てきた。
あたしはその目に、大きく鼓動が波打った。
恥ずかしくて視線をそらせば、それに合わせて彼も動いた。
「本気、なの……?」
震える声で、呟くように言った。


