「藤井くん、もう行こう」




藤井くんの腕を無理やり引っ張って、部署を出た。


この時になって、ようやく足が動いた。



この人から逃げることになったとしても、これ以上会話を聞き続けることが出来なかった。


馬鹿にされても、
勝ち誇った顔をされても、
とにかく逃げたかった。




「え、ちょっと、あの人ほっといていいの?
友達じゃないの?」




戸惑いながらも、心配そうに言ってくる。


それでも足は止めず、引っ張ったまま。




「友達、なんかじゃない」



「え?」