だから、いる訳がない、 別人だと自分に言い聞かせて入口の方を見る。 ゆっくりと顔を上げたとたん、あたしの願いは打ち砕かれた。 「由梨っ……」 入口に立ってあたしを見ているのは、予想通りの人物。 4年前にこの会社を辞めた。 そして、あたしの大切な人を奪って、この世でもっとも逢いたくない相手。 それは、他でもない由梨だった。 「久しぶりだねぇ。 まだ、ここで働いていたんだぁ」 4年前と何1つ変わっていない。 甘ったるい声に、吐きそうになる。 歳も歳なんだから、考えてほしい。