でもあたしは、そんなことを1度だって考えたことがなかった。 そんなこと、思いもしなかったんだ。 藤井くんと約束した時間までに、なんとか仕事が片付いた。 もちろん、まだまだやることはあるけど、急ぎの仕事は終わった。 あとは、明日でも大丈夫なものばかりだ。 「お疲れ様でーす」 夜も遅くなったのに、明るい声が部署内に響く。 片付け始めたところへ、タイミングよく藤井くんが入って来た。 「お疲れ様」 「仕事、終わった?」 書類を持っているあたしに、心配そうに聞いてくる。