「小さい子を連れてたおばあちゃんが、ひき逃げだよ」 「え!」 思わず、声が出た。 さっきから、ずっと隅にいる太一に目をやる。 太一は、相変わらずうつむいていた。 確か、太一の母親も、事故で…。 「俺、今日は食欲出ないかも」 そう言って、二階へ上がっていった。 「大丈夫かな」 心配すると、 「夜には、腹減った〜とかいって下りてくるよ」 千佳が肩をすくめる。 「司と千佳は似てるからのぉ」 おっちゃんが言った。