「あんなやつと結婚なんかしなきゃよかったのに」


席に座った途端、俺の口から出た言葉に紅美が顔を歪めた




「そんなこと言わないで。あんなやつでも、かわいそうなとこもあるのよ」


ふふ、と笑う紅美の笑顔が胸をさす


「同情?同情で私生活まで受け渡したのか?」


「なに言ってるの藍斗」


子どもをあやすみたいに、優しい瞳で俺を見る