「オーナー、これで三人目ですよ!いい加減にして下さい!」



具流目を見送るオーナーの後ろから、先程のウエイトレスが声が聴こえた。












「やれやれ……あのお客様も『本物』では無かったようだよ……」


オーナーは振り返り、ウエイトレスに残念そうな顔をして言うのだった。


「ウチの店に2ヶ月も通っていれば、いくらあんなメニューを見せられたからって、素材が偽装などと思う訳が無い。

実際、このクイ・ダ・オーレはオープン以来『本物』の素材しか使用した事が無いのだから……

この店が偽装だと思ったとしたら、それは残念ながらメニューの名目でしか素材の良し悪しを判断出来ないお客様の味覚が『偽装』なのだと言う事だよ」


「全く、オーナーのイタズラ好きにも困ったものだわ……」


飲食店格付け雑誌『みちゅらん』で三つ星を獲りながら、何故かこの店が満席にならないのは、きっとこのオーナーのせいなのかもしれない。



END




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