探偵、全田一の呼び掛けにより、とある会社の応接室には五人の男と二人の女性が集められていた。


「全田一さん、いったいどうしたんです?突然皆を集めたりして……」


集められたメンバーの中の一人『松本』の質問に、全田一は自信に満ちた表情で答える。


「貴社の『大野』社長が社長室で何者かによって殺害されたこの密室殺人事件。
手掛かりも少なく実に難解な事件でありましたが、ようやく真犯人の特定が出来ましたので皆さんにご報告致したいと思いましてね」


「そうですか!やっと真犯人が解ったんですね!」


「はい、解りました。
事件解決ももう目前、さしずめ二時間サスペンスドラマで言えば、最後のCMの後の十五分といったところです」


そして、全田一は不敵な微笑を洩らすと意味ありげにこう続けた。


「ここにお集まりの皆さんは、全て大野社長と関わりの深い方ばかりです。
専務の二宮さん
常務の櫻井さん
総務部長の松本さん
人事部長の相葉さん
営業部長の中居さん
そして、社長秘書の前田さんと大島さん。
実は、この七人の中に真犯人がいます!」


「なんだって!」


全田一によって集められた七人は、驚いた顔で互いの顔を見合せた。


「まあ、細かい解説は追々していくとして、まずは真犯人が誰であるか発表しましょう。

犯人は……………」


そう言って全田一は伸ばした人差し指を高々と頭上に挙げた。


真犯人は果たして誰なのだろう……
応接室に集められた七人の容疑者は、真剣な面持ちでその全田一の指先をみつめていた。




…と、その時だった……





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