「ここにいたのかタケヤス!
無事で良かった!」
気が付けば、私の傍らには、前田が立っていた。
「私は、なにもかも失ってしまったよ……前田……」
すると、そんな私の肩に手を置き、前田はこう言った。
「タケヤス……健康になる為に、一番大切な事って何だか知っているか?」
「それは、バランスのとれた食事と適度な運動……それから……」
「ハハハ♪お前らしい答えだな♪
しかし、正解は違うよ♪」
「違う?だったら正解は何だ」
問いかける私に、前田は笑って答えた。
「健康になる為の最大の秘訣。
それは……くよくよしない事だよ♪」
そして、前田は続けて言った。
「住む場所の都合がつくまで、しばらく俺の部屋に泊まるといい。
ちょっと狭いが、その辺は我慢しろよ」
前田の申し出に、私は心から感謝した。
「ありがとう前田!
ついでと言っては何だが……私がいる間、禁煙してくれると助かるんだがな」
「おいおい、それはカンベンしてくれよ……タケヤス」
「冗談だ。しかし、火の不始末だけには気をつけてくれよ」
「わかった。気をつけるよ♪」
そう言って、前田は笑った。
そんな前田につられて、私も笑った。
そこの貴方。
世の中で一番大切なモノって何だと思いますか?
えっ?健康だろうって?
それは勿論、健康も大切でしょうね。
けれども、それ以上に大切なモノがあるんです。
それは、心を許しあえる友人ではないかと、私は思うのです。
END
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