「いや、椎奈さんが佐伯のコト好きだっていうのは聞いてたから、知ってたよ」 「えっ??」 「……でも、今日どうしても伝えたかったんだ。実はオレ、親の仕事の都合で引っ越すコトになったんだ。だから最後にどうしても、それだけ伝えたかったんだ」 「そうだったんだ……転校、しちゃうんだね」 「うん。最後に、だから伝えさせてくれてありがとう。元気でね」 「……うん。元気でね」 小野寺君はそのまま背を向けて歩いていった。 ……なんだか、複雑な気持ちだった。