ドアの横のスイッチで電気を点けると、暗かった部屋に暖色のあかりが灯る。
それにどこかホッとしたように、「外国って感じだね!」なんて、部屋までひと続きになったカーペットに興味津々な様子の日和。
そんなに無邪気でいられるのも、今のうちだけだろうけど。
「ねえ、やっぱり靴って……」
振り返りかけた日和の肩に腕を回し、後ろからその体を抱きしめる。
「前にも言ったでしょ」
「え!?」
「“警戒心なさすぎ”」
「だって……んっ」
アワアワと言い訳をしようと開いた唇を塞いで、その先にある舌を絡め取る。
「日和」
「……」
「好きだよ」
本当に、大好きなんだ。
離した唇をそのまま首筋に這わせると、固まったままだった日和の細い腕が背中に回されて、
「私も、カンちゃんの事がずっと好きだったよ」
甘い吐息を吐き出しながら、震える声でそう告げられた。
――ずっと好きだった。
日和が生まれて、いつも一緒にいるうちに、気付いたらもう日和を好きになっていて、一度はその感情を捨てようとした俺。
俺を男として意識する事なく過ごしてきた日和が、いつから俺のことを好きになってくれたのかは分からないけれど……。
「やっと重なった」
首元でそう呟いた俺の声に、日和はピクリと体を反応させて、小さく「うん」と返事をした。
もう一度唇を合わせると、日和の舌が躊躇いがちに俺の口内をくすぐり出す。
「……っ」
そんな事をされたら、もう止められるはずがない。
「う……んっ」
その舌を捕らえて、食むようなキスを繰り返し、フッと力が抜けた日和を支えるように壁にその体を押し付ける。
ホント、どうしようもないくらい可愛いな。
サラサラと揺れる髪を撫でながら、それを耳にかけた後、露わになった耳朶に舌を這わせて甘く噛みつくと、
「……やっ」
小さな声と共に、力が入る細い指。
「寒くない?」
そう問いかけた俺に、潤んだ瞳を向けた日和が小さく頷いて、シャツの裾から滑り込ませた手に、またわずかに体を震わせた。
可愛くて、愛しくて――ただ純粋に、日和と深く繋がりたくて。
下着を取り去り、胸に手を這わせると、せがむように唇を合わせてくる。
「んん……」
甘い声を飲み込みながら、ゆっくりゆっくり焦らすように、日和の体に指を這わせ、その体を湿らせていく。
「カンちゃん、ベッドでしたい」
「――っ」
甘い声を上げ、すっかり掠れた細い日和の声は、驚くほどに欲情的で。
思わず動きを止めて、息を呑むほど。
「掴まって」
俺の言葉に頷いて、日和が力なく肩に腕に回し、
「ちゃんと掴まってないと落ちるぞ」
笑いながら小さな体を抱き上げて、ベッドの上にそっと降ろす。
「――カンちゃん?」
「ん?」
腕を立てるようにして覆いかぶさったままの俺に、日和が潤んだ瞳を向けて、何故かフワリと笑みを浮かべた。
「星が凄いね」
――あぁ、そうか。
「だから言っただろ? 真っ暗の方がいいって」
「なるほど」
ベッドルームの天井には、大きな天窓があって、キラキラ光る星が見える。
俺の肩越しにそれを見つめた日和が目を細め、ゆっくり伸ばした手を、俺の首に巻き付けた。
「カンちゃん、続き……して?」
耳元で囁かれた言葉に、体が一気に熱くなる。
「カンちゃんの手、温かいくて気持ちいいから、もっとたくさん触って欲しくなっちゃう」
「……」
何だそれ。
「日和」
「ん?」
「お前が煽ったんだからな」
「え!? いや……あっ」
内腿を撫で上げ、柔らかい胸に再び舌を這わせると、日和が逃げるように体を浮かせて声を上げる。
それを追うようにして愛撫を続け、 日和の体が小刻みに震え出した頃、
「ヒヨ、いい?」
「……うん」
すっかり熱くなった自分の体を、彼女の中に埋め込んだ。
見慣れた部屋に、お互いの名前を呼ぶ声と、聞きなれない甘い声が微かに響く。
優しくゆっくり、時に激しく。
FuckとSexとMake love――同じ行為を意味するその3つ言葉。
「カンちゃん…私……ダメっ」
「――ん、いいよ。俺もイクから、先イって」
「あっ…ああ……ッ」
お互いを愛でながら2人で交わすこの行為は、絶対にMake love。

