恋するキミの、愛しい秘めごと




「あれ? 博物館に戻って来ちゃったよ?」

きっかり10分で荷物をまとめてチェックアウトした日和をタクシーに押し込んで、連れて来たのは自分の職場である博物館。

戸惑う彼女の手を引きながら、裏の駐車場に向かう。


「乗って」

助手席のドアを開けて、運転席側に回り込み、エンジンをかけたところで日和が興奮気味に助手席に乗り込んで来た。

「これカンちゃんの車? またミニ乗ってるんだね!」

この車は、日本で乗っていた物と同じ会社の車の型落ち版。


「だってコレ、元はイギリスの車だもん」

「そっかそっかー!」

どこか嬉しそうな日和にシートベルトを締めさせて、車を発進させる。


「車があったから、カンちゃんは飲んでなかったんだね」

「まぁそれもあるけど」

「ん?」

「いや、何でもない」


ハンドルをきりながら、いつもの道を走り続け、街の灯りの届かない林の中に差し掛かった頃。


「真っ暗だね……」

少し怯えた様子で、日和が呟く。

「うん。だけど、真っ暗だからいいんだよ」

「え?」

「着いたら分かるよ」

不思議そうに首を捻る日和の頭をポンポン撫でて、そのまま林を走り抜ける。

その先は小高い丘になっていて、白い一軒家の前で車を停めた。


「ここ……カンちゃんの家?」

「そう。つーかヒヨ、荷物多すぎだろ」

開けたトランクの中には、大きなカバンが3つ。

それを持つと、暗闇が怖いのかキョロキョロと周りを見回す日和の手を取って玄関に向かい、鍵を開けた。