笑顔を見つめて

多分…部活帰りだと思う



ぼやけてよく見えないけど



あの傘の色とか体格とか髪型も連斗だ




連斗は怠そうに歩いていた






…連斗なら話を聞いてくれるかもしれない







何故私はそう思ったのだろう…


私は自分の立場とか状況も全部忘れて


思わず声をかけていた




「連……」



「照!?」




私が言い終わらないうちに目があった連斗が発した名前は…


今の私にはあまりにも酷だった



「は、は……」



そういえば私…髪結んでないや…




だけど…





あぁ……




そっか…




そうだったんだね…






‘未沙'はどこにもいなかったんだ…






「照!傘も持たずに何してんだ!?」



少し怒ったような、戸惑ったような顔をして慌てて私に傘を向ける連斗





照…


照…


うるさいよ




分かったよ…


もういいよ…



そんなに望んでいるのなら照になってあげる



「連くん……!」