大きな自己嫌悪に陥る私に……、
「……そうじゃない奴も…、いるんだよ。」
彼は、真っ直ぐにこっちを見て…言った。
「……え?」
どういう……こと?
「…ちょっ……」
私が口を開き掛けた所で……
タイミング良く、始業ベルが鳴る。
「宏大。……行くぞ。」
彼が私に…背を向ける。
「え。ねえ、ちょっと……!さっきの…どういう意味?」
その背中に。
思い切って……、声を掛ける。
「…アレ。もう声掛けないんじゃなかったの?」
悠仁が…こっちに振り返る。
「い、今だけ無効っ。」
「随分とまあ…、都合いいんだな。」
「……………。」
「………ちょっと、悠仁。お前ヤケに突っ掛かるけど…櫻井何かした?」
「……常盤くん…。ごめん、私は別に平気だから。」
「…でも…。」
「宏大。ややこしくなるから……黙ってて。」
冷たい言い方……。
何よ……、何がそんなに気に食わないのよ。
「櫻井。俺…、さっきも言ったよね。」
「………?」
「俺は、『ねえ』でも『ちょっと』でもないって。」
「…………。言った。」
「………あー…ムカつく。」
「………はい?!」
悠仁はそう吐き捨てて。
再び…
先を急ぐ。


