私は先を歩く二人の背中を追うようにして…
音楽室へと向かう。
「…………。」
常盤くんと無邪気に戯れる彼のそのカオから……
目が離せない。
だから、時折……
私の視線に気づいた君と、目が合ってしまう。
こんな気持ち、バレたくないのに……。
なのに、嬉しさばかりが先走りして。
歯止めが……
利かないんだ。
「悠仁くん!」
途端に……
背後から、女の子の声。
「ちょっと話したいんだけど、いいかなぁ?」
私達3人が振り返ったソコに。
可憐な……
美少女!!
この人…知ってる。
去年、1年生で学校のミスコンで優勝した……
松浦先輩 ……。
2年生が…、彼に何の用?
「いいけど、時間ナイ。」
「大丈夫、すぐ終わるから。」
彼女はチラリと……
こっちを見た。
「……これは……、アレだ。櫻井、行こう。」
状況を察した常盤くんは私に耳打ちして…
私は無言で頷く。
「…悠仁。俺らに構わず…ごゆっくり。」
私達は二人を残して……
スタスタと先を歩いていった。
……が、
「…と、見せかけてか~ら~の~?」
「…………?!」
常盤くんはぴたり、と足を止めると……。
「……もちろん、見たい…よね?」
返事も待たずして、私の手を引いて…。元来た廊下を……
戻って行った。


