昼食を終えるとすぐに…、
シンは私の髪を、軽くアレンジしてくれた。
「おおっ…!顔のいい女は違うね。ちょっと手をかけただけで、大変貌…!勿体ない。」
「……は?」
シンの言うことは意味不明だけど。
おかげで首元が…痒くない。
「…いいね、コレ。楽だなぁ…。」
「………。お洒落より利便性重視かいっ。ダメだこりゃ…。」
「へぇ、シン、上手じゃん。」
次第に女子が集まって…、ガールズトークが始まる。
私は適当に相槌を打ちながら、
にこにこと愛想を振り撒く。
途端に、
「わ。櫻井かわいい。」
背後から…、男子の声。
「………?!」
くるり。と振り返ってみると、
パックジュースを飲みながら、悠仁の親友…常盤くんが、顔をじいっと見つめてきた。
「いつもこうしてるといいのに。」
「………。」
常盤くんはそれだけ言って……。
そのまま立ち去って行った。
「今の……何?!」
女の子達が…、キャーキャーと騒ぐ。
「……七世……。顔赤いよ?」
冷静だったのは、ただ一人。
シンだ…。
「え。」
「……七世、もしかして……。」
「……え?」
「……いやいや、違うか?…何でもなーい。」
「………?何よ、気になるなぁ……。」
さっきから何か言いたそうなのに……。
何だろう…?
それにしても。
常盤くんみたいな目立つような人って、クチが上手いなあ……。
男の人に「かわいい」だとか、初めて言われたし。
「…………。」
悠仁も…。
女の子にそんなこと言ったりするのかな。
好きな人とか彼女とか……、
もしかしたら、いるかもしれないんだよね。
そういえば……、
そういう噂は、聞かないな…。
一方の悠仁は。
もちろん、てんでお構いナシ。
予鈴が鳴ってもまだ……
グースカ寝ている。


