ただ事実だけを書き連ねて、一体何をしたいのかは…… 自分でもわからない。 日記を振り返るでもなく、 この不思議な能力に疑問を抱くわけでもなく、 それでも…… 書きつづける。 私は…… 少し黄ばんだもうひとつの日記を本棚の隅の方から取り出すと…… それを、パラパラとめくった。 「……わぷ……!」 いつぶりかに開いたから。 ほんの少し…埃っぽかった。 私が日記を書く理由があるとすれば……。 それは、ここにある。 亡くなった祖母が遺した…… 沢山の、命の軌跡……。