ナナを失ってからの…3日間。
君は悲しみに暮れる間もなく、自分にできることを…探して。
おそらく、必死に奔走していたのだろう。
「……知ってた?俺らの街でペットとか火葬してくれんのって、清掃所…なんだって。」
海風が…そよいで。
君の前髪を…揺する。
寂しそうな…瞳。
「まあ、色々調べてさ。他ん所で火葬してもらって、もう小さいハコん中にいるよ。でも…そのあとどうしてあげようかって。ペット霊園だとか、色々あったんだけど…」
「……………。」
「ここなら…広くて、景色もいいし…、自由な感じするだろ?それに、この海なら…俺の家族も見守ってくれるかなって思って。七世は…どう思う?」
夏の陽射しが… 海面をキラキラとさせて。
まるで、ナナを歓迎するよ、と、いっているかの…ようだった。
それに。悠仁の家族も…、この街にいるってこと?
「………そっか、さっきの船は…。」
「……うん。沖に出て、散骨してくれる業者の船。花びらも一緒に…海に還すんだって。自分の手で…弔ってやりたいからさ。この夏…、バイトして……。」
「……バイト…。悠仁、部活は?」
「……うん、ちょっと休部して…かな。まだ1年だし、長い目で見れば…しばらくレギュラー外れても、あと2年もすればなんとでもなる。それより、ちっちゃいハコに入ってんのも…退屈だろうから。ちゃんとしてやりたいんだ。」
「………そう、……もう…、決めてるんだね。」
「…相談もしなくて…ごめん。七世に頼ったら…、さ。情けないとこいっぱい見られそうで…我慢してたんだと思う。まあ、どっちみち、やらかしてしまったけど…。」
「一度決めたら…、アンタは揺らがないもんね。真っ直ぐって言うか…、頑固なところもある。あ…、もしかして、お母さんから譲り受けた?」
「………そーかもな。」
触れてはいけないことだったのかも…しれない。けれど、君の方から…その壁を取り払ってくれたから。
少しだけ、勇気を出して…言ったんだ。
でも…、やっぱり。
嬉しそうなカオするわけでは――…ないんだね。
「……ナナのことは…、悠仁が決めていいんだよ?けど…、その時は私も一緒にお別れしたい。」
「…………。待て。俺、また泣くとこ見られんの?」
「いーじゃない。ナナを想ってのことだし。……ダメって言ってもそうする。それにね、わざわざ教えてくれるくらいだし、最初からそうしたいと思ってたんじゃないの ?」
「………………。」
「……それから、バイト先だって…きっともう、決めてるんでしょうね。アンタの抜かりのなさは…知ってるつもり。」
「……まあ……、うん。へえ~…、だいぶ…バレてんなあ…。」
「…………。」
「じゃあ…、さ、七世。もう少しだけ…ネタバラししよっか。少し歩くけど……ついてきて。」


