帰りの電車は…スカスカで。
ボックス席に座った私達の周りには…誰もいなかった。
少し離れた所に、部活帰りと思われる学生達が…席を陣取って。
話に花を…咲かせている。
「………あの人達、バスケの話してる。」
隣りに座る悠仁へと振り返って、小声で話掛けると…。
「……………。悠仁?」
君は既に…目を瞑っていて。
小さな寝息が…私の耳に届いて来た。
「…そっか…。アンタも…部活帰りだったね。」
よほど…疲れているのだろう。
カクン、と落ちた頭が…、私の肩の上へと乗せられた。
「………重い…。」
けれど…その重みが、心地よい。
私の隣りは…、このポジションは、君のものだって…
その存在を、知らしめるのだ。
「………お疲れ様。」
顔に触れる君の柔らかい髪に…頬を乗せて。
小さく、小さく……呟いた。
シャンプーの香りと、君の汗が混じった…匂い。
「…………お疲れ…」
ふと…うっすらと目を開けた悠仁が。
目線の下から…その顔を近づけて来て、
そっと……、触れるばかりのキスを落とす。
「………起きてたの?」
「………。…寝てる。」
「嘘つき…。」
そのまま、君は…目を開けることはなかった。
いつもなら公衆の面前でだって、堂々と…人に絡んで来るような君の。
精一杯の…照れ隠しだったのかも…しれない。
甘えて、甘えられて…
お互いを支え合うようにして。
どこまでも…ずっとずっと、この電車の終着駅なんてないくらいに。
このまま……、そうしていたかった。
君は…私の大切な…恋人。


