登坂悠仁が放つシュートは、どれもこれも音をたてずに……
真っ直ぐにゴールへと吸い込まれていく。
ディフェンスに戻りながら、仲間と軽くハイタッチをする度に。
気を許すような無防備な笑顔と……
ボールの行方を追う真剣な顔とが、
まるで、スイッチを入れたかのように…切り替わる。
迷いのないシュート。
それが、軌道を反らした瞬間に……
「あっ……。」
私は……
小さく声をあげた。
それは。
珍しくフレームに当たって失敗するシュートに…
…驚いた訳ではない。
彼の頭上に突然。
……見えざるべきものが、見えてしまったから。


