「……で?何なの、この距離……。」
悠仁様…、そこは突っ込まないで下さい。
ただ今、二人並んで…登校中。
私は……後悔の真っ只中。
「突然飛び付いてきたかと思ったら、直後にコレだ。俺にどうしろってハナシ。」
それは…謝ります、
いくらなんでも…大胆すぎましたから。
「………ごめん。」
「…………って、何で後ろに下がる!」
「目下反省中。大人しく、後ろ歩いとく。」
私は、悠仁の一歩後ろを…ついて歩く。
「気まぐれ猫か…忠犬ハチ公なのか、どっちかにしとけー。」
「……犬……可愛いよね。」
「ハ?なに、突然。カワイイけど…」
「猫も…可愛い。」
「………確かに。………?病み上がりで情緒不安定?」
「……そーいう訳じゃないけど…。」
「じゃーナニ?――…ああ、そんなに嬉しいんだ?俺と会えたのが。」
「………!!」
「……オイ…?否定するとこじゃん。」
否定なんて…できない。むしろ…それが本音で、お母さんに見抜かれたように…
私は少し、浮かれていたのだ。
悠仁の影が……消えそうなこと。
悠仁と、想いが…通じ合えたこと。
嬉しくないわけ…無かったのだから。
「………ウン、犬猫より可愛い新種、見つけたわ。」
君は私に手を伸ばして。
「繋げ」って言わんばかりに…ニヤリと笑う。
「新種、『ナナ』。どこいくかわかんねーから、リード代わり。」
リードって……。
「バカ!」
私はその手を払いのけたけれど、すぐさま…ガッチリと掴まれてしまった。
「嬉しい癖に。」
やはり……悠仁には照れ隠しなど通用しないのか。
じゃじゃ馬ならしとでも…言おうか。
とにかく、君のその強引さに…勝つすべはない。
「……ちょっと!学校まで、だからね。」
「ハイハイ。」
君と過ごす毎日が……
今日から、始まる。


