男子バスケ部の面々は、コートの端から端を行ったり来たりしながら。
ウォーミングアップしている。
悠仁様は……、と。
あ。いた。
バスケ部員に紛れると、その長身は目立たない。
けれどすぐにわかってしまうのは……
彼のもつ、独特の雰囲気が…いかに偉才を放っているのかってことだ。
「…………。」
大股あけて、がに股で細かくステップを踏んで…
反対側のゴールへとダッシュするその様も。
女子の皆様には神々しく見えるらしい。
シンも例外なく、時折黄色い声を上げていた。
その…、甲高い声は。昨日から続く頭痛に…更に追い討ちをかけるようだった。
いよいよボールが登場し、
部員達は、繰り出されるパスを受けて…レイアップシュートを放つ。
動きを追うだけで、目が回りそう。
女子に名前を呼ばれた悠仁様は、くるり。とこっちの方へと振り向くと…。
ひらひらと手を振った。
「…………!!」
視線が……ぶつかる。
「こっち見たっ!」
すぐ近くにいた女子生徒が騒ぎ立てる。
なる程……。
私も自意識過剰だったのかもしれない。
ますます……、この場から逃げ出したくなってしまった。


