勢いよく立ち上がった私の腕を……
あつい手が、ガッチリと握った。
「一日寝てれば治る。それより…ここに居て。」
「…エ、でも……。」
「…いーから。それがきっと…一番効く薬。」
「………高額な薬になりますが。」
「……ぼったくりか。」
「……馬鹿だね。」
だけど、なんて愛しい…。
「馬鹿は風邪ひかない。」
「……。ハイハイ、わかったから。喉痛いんだから、減らず口叩いてないで…まず寝なよ」
「………。七世は?帰らない?」
熱のせいで潤んだ瞳が…私に訴えかける。
普段の悠仁には考えられないくらいの…可愛さ。
「帰らないよ、大丈夫。ここに居るから。」
「…そ?…ありがとう」
そのまま彼は目を閉じると……、
すうっと眠りに入った。
なのにやっぱり呼吸は苦しそうで……
寝返りひとつ打たず、時折小さく呻いては…うっすらと目を開ける。
「……大丈夫、ちゃんと居るよ。」
君の瞳に私の姿が映し出されると、また…眠りに入る。
ただの…風邪ならいい。
君が眠りから覚めた時、またいつものように憎まれ口を叩けるくらいに…元気を取り戻して欲しい。
君の寝顔を見る度に、不謹慎にも…胸がドキドキと音をたてる。
「…………。」
私は無意識に彼の布団をめくり上げて。
悠仁の胸元に、耳をあてる。
ドクン…
ドクン……
規則正しく奏でる…心音。
ドクン
ドクン……
「……私の方が…早いな。」
こんな状況なのに、それがちょっぴりくやしくて。
それから……
とても心地よかった。
ドクン…
ドクン……
「……………。」
ドクン、
ドクン………
「……………………。」


