にこり、と愛想笑いをしなれている透だからこそわかる。 応えて笑った彼の人懐っこそうな笑顔もまた、愛想笑いだ。 誰だ、こいつ。 初めて見る顔に、透は戸惑うしかない。 愛想笑いを浮かべたまま、男子は透の脇を通り過ぎた。 手に持ったノートが透の目に入った。 数学、とかかれた下に、名前がある。 “加藤 薫” 学年もなく、ただ名前だけのそれが、何故か印象に残った。