始業式、という単語が好きでない人は多い。 しかし、心底本気で嫌いな人間は意外と少ないものだ。 かく言う透(とおる)自身も面倒臭いという思いしかなく、そこまで嫌いな訳ではなかった。 嫌う理由もあまりない。 しかし透の血の繋がらない同い年の妹は、始業式を本気で嫌っている。 あんな調子ではクラスでも良く思われてはいないだろう。 (大丈夫かな、瑞姫(みずき)は) なんて、考えても仕方のないこと。 作った愛想笑いに素の苦笑いを滲ませながら、透は始業式直後の騒がしい教室を見回した。