「ごめんね。あぁするしか、なかったの」
言い訳しか出来ない自分に心底腹が立つ。
こんなんだから、誰ひとり守れない。
「あなたが、あの男を大切に思うように、私もあの子が大切なの」
周りに立ってる者は雷龍のメンツ以外は居ない
静かに、次の言葉を待ってるみたいだった。
「何にも変えられないくらい、大切なの」
そう言うと男はナイフを手から落とし座り込んだ。
それを見て嵐士が走って来ようとしたけど、止めた。
「お前に、何がわかる・・・知ったような口きくんじゃねぇ!!」
「わからなくて当たり前じゃない」
そういえば、男の顔が上がった
「あなたがあの人を大切にする気持ちはあなたにしかわからない」
自分が誰かを大切にする気持ちは誰にだってわからない
分かっているようでも、全てを理解することは不可能だ
「だからこそ、見失っちゃいけない思いなのよ。はきちがえちゃいけない思いなのよ。」
男の目がゆらゆら揺れる

