コイツ裏切られた事を怒ってるんじゃない。
咲羽と対峙してたあの金髪を殴ったことを怒ってる。
咲羽がアイツを殴ったのを見たときコイツの顔、すごく寂しそうになった。
「くっそ!!!!」
悔しさいっぱいの瞳でこっちを見る男。
汚い瞳じゃない。純粋な、綺麗な瞳。
「佳乃!!!」
陸の声がする。
でも、止めないで欲しい。
コイツはウチが、止める。
「ねぇ、どうしてそんな顔するの?」
もう一回襲いかかって来ようとする男に目を合わせて聞くとピクリと男の動きが止まった。
「闇雲に襲いかかっても、ウチには当たらない」
「うるせぇ!!!!」
するりと避けるとき手に何か落ちた。
触ればそれは濡れてて、振り返って男を見れば涙で顔が濡れていた。
あぁ、やっぱりほっとけないんだ。

