seid:蓮




全国単位で考えても、3本の指に入るであろう“藤堂組”に1人の少女がいる。





怯えることも、怖がることもせずに、ただ凛としている佳乃。



よくこんなとこに、のこのこ女1人で来れると思う。




「同じこと言うんですね。極道だからって、蓮さんは蓮さん。恩は恩ですよ」






そう言って軽く笑うソイツは、すげぇものを背負ってる。



外見からじゃ、想像もできないような“力”で“それ”を背負ってる。





「それに、正直怖くないんです」





この家に俺の女以外でいれるのは、佳乃が最初で最後だ。





俺がマンションを貸してやるように知り合いに話したことを佳乃は知ってる。




もちろん俺が言ったんじゃねぇ。



あのマンションの管理人も、こういう事はそんな簡単に話すような奴じゃない




佳乃は昔からそうだった。



“人”を見るのが得意な奴だ。どんな些細なことでも見つけて“拾う”。




こうして月に2回必ず来てる佳乃は、恩を返す機会を伺ってる。




あの“約束”をした時に十分すぎるくらい返してもらった。



だけど、佳乃は未だに・・・




組に“もしも”の時があったとき、佳乃は必ず飛んでくる。



絶対に。