朔には若頭としてやることが色々ある。
それに、ウチがいなくなった今、“あそこ”をまとめてるのは朔だと思う
ウチなんかのために貴重な時間を使わないで欲しい
「佳乃。顔あげろや」
きっと畳の跡がくっきり残ってる額をあげる
「今日はもう帰れ。転校初日くらいしっかり行け」
「・・・はい」
もう一度頭をさげて障子に手をかけた。
「佳乃。素直になれよ」
「・・・っ・・・・」
蓮さんはわかってる。ウチのこと、考えてることわかってる。
わかってても踏み込んでこない蓮さん。
引きながら、押してる。
“お前自身が決めることだ”
そう、目が言ってる。
「また、顔出しにきます」
「あぁ」

