その手が誰の手なんて 聞かなくても分かるよ…。 「バカなことを言うなっ!! 君がいなくなったら俺は……。」 番場くんは悲しい顔をして私の方を 覗き込んで、私の手をしっかりと掴み、 私を部屋へと引っ張りあげた。 そして、私を抱き締めてくれた。 「それ以上抱え込むな…。新井は悪くない 。責任なんて感じなくていいんだから…。」 そう言って私の心を優しく包み込んだ。 「ば…んば…くん…っ」 思わず涙が溢れた。本当は誰かに そう言ってほしかったんだ。 ずっと………。