もしかして、井上皐和という人間は、もともとこの世に存在しなかったのだろうかとすら思えた。 「…んなわけねえだろ。」 むかつく。腹立つ。俺が嫌なら話さなくてもいい。だけど学校休んでまで避けんなや。 「あーもー!」 そう叫ぶと、周りで着替えていたクラスメートたちが一斉にビクッとした。 「今岡君、どしたん?」 「体育サボる。」 「え?」 「もう帰る。」 「え!?ちょっと!」 鞄を持って教室を出た。