バッドエンドにさよならを


彼の優しさの意味がわからない。

自分が犠牲になってまで誰かを助けることに意味はあるのか。

「今日の宿題はプリントだったよな。忘れたやつは立て。」

厳しいで有名な数学教師。

なるほど。だから彼女は泣きそうだったのか。

立ったのは俺とサワだけ。

「井上が忘れるなんて珍しいな。でも忘れ物は忘れ物だ。放課後、倍のプリントやって帰れ。」

「えーそりゃないよせんせー。」

サワがおどけたように言って教室が笑いに包まれた。

「今岡も今日は絶対やって帰れよ。」

俺は無言で座った。