今日は金曜日。

今日逃せば土日は会えない。

もやもやしたまま週末を迎えたくない。

休み時間に避けられるなら、授業中しかチャンスはない。

幸いにも、彼の席は俺の前。後ろから背中をつついた。

「…何?」

初めからこうすれば良かったのかもしれない。

優しいサワはシカトすることなんてできないから。

「なあ、放課後時間ある?」

「あー…今日はちょっとおばさんに早く帰ってこいって言われてるから…」

「俺もついてっていい?」

「え、…えー。ダメ。」

「じゃあ明日会える?」

そう言うと、サワは困ったような表情を浮かべた。

「…わかった。明日のお昼にファミレスなー。ご飯たべよ。」

やった。やっと約束を取り付けた。

どうして、と聞かないあたり、やっぱり彼は意図的に俺を避けていたんだろう。